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新規就農の歌

「サラリーマンを辞めて農業をやる」と聞いたら一般の人はどう思うのでしょうか?
「夢があっていいじゃないか」と言ってくれる人もいますが、「バカな事は考えるな。農業で食っていけるわけないだろ」と言う人も相当数いるでしょう。
ボク自身、農業で本当に食っていけるのかかなり不安で、なかなか決断ができませんでした。
当時はまだインターネットで豊富な情報を集められる時代ではありませんでしたので、雑誌などで新規就農した人の記事を時折見かけることはあっても、細かい経営スタイルや生活などを詳しく知ることはできませんでした。成功した人が少なからずいる事はわかりましたが、どうすれば成功できるのか。その辺の具体的なイメージがなかなかつかめませんでした。自分が越えなければならないハードルの高さや形がよくわからないわけですから、いっそう不安が募りました。でも一方で、どうしても農業をやりたい、挑戦してみたい、という気持ちも強く持っており、夢と不安に挟まれ悩み続ける時期がずっと続きました。
明日こそ辞める話を上司にしよう。そう思っていても朝になると急に不安に襲われ、やっぱりもう少し考えてからにするか、となってしまったことも幾度となくありました。ある程度責任のある仕事を任されていると、当然アルバイトを辞めるようには簡単にはいかず、一度辞めるチャンスを逃してしまうと次に仕事の区切りがつくまでは辞められなくなってしまいます。
一度しかない人生、好きな事を職業にして思いっきり打ち込もう。いや、それは無謀なことかもしれない。せっかく安定した収入を得られる職についているのにそれを棒に振るのか。それでもやっぱり自分らしさを取り戻し生き生きと暮らしたい。でも現実はそんなに甘くないはずだ。そんな自問自答を延々と繰り返しました。挑戦して後悔するか、挑戦せずに後悔するか…。少なくとも挑戦しなかったらあとで絶対後悔するのは明らかだ。あの時やっていれば、と必ず思うだろう。今までのボクの人生、あの時ああすれば、というようなことばかり。もうこれ以上は後悔を増やしたくない…。
そして6年悩んだ末、ようやく会社を辞めることになりました。辞める事が決まった途端、何だか自分でもびっくりするほどスッキリした気持ちになりました。
ちょうどその頃埼玉県小川町の友人M永さん達の、ダイズ畑を耕作しているグループに参加していました。会社を辞める事を報告すると、いよいよだね、おめでとう、生き生きとした顔になったね、頑張ってね、とみんなから激励の言葉をいただきました。その後M永さん宅で炬燵に入り雑談をしながらダイズの選別作業をしていたのですが、ふと押し入れを開けると中から一枚の詩が書かれた紙が出てきました。それはまさにその時の自分の気持ちにピッタリの詩でした。以前脱サラをして農業の専門学校に行っていたM永さんが、卒業間近に同僚のTさんから渡された詩だそうです。M永さんはバンドをやっていたので曲をつけてくれという事だったようなのですが、彼はすっかり忘れて押し入れにしまったままになっていたそうです。さっそくこの詩をコピーして持ち帰り、曲を作らさせていただくことにしました。そして半年かけて曲を作り上げました。ちなみに詩にはタイトルがなく、『新規就農の歌』というダサいタイトルはボクがつけたものです。

就農してから幾度となく変な夢を見ました。今でもまだ時々見ます。それは仕事に苦戦しながら「ああ、あの時なんで会社辞めなかったんだろう。農業すべきだったな」と後悔している夢です。そして目が覚め「ああ、オレ農家になったんだったよな。好きな農業毎日思いっきりやっていいんだよな。よかった~」と…。この夢を見るたびに農業をやれる喜びを思い出し初心に帰る事ができます。もしあのままサラリーマンを続けていたら…。きっとあの夢の中の自分のようになっていたんだろうと思います。

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新規就農の歌

作詞 玉木洋次  作曲 武藤俊郎

新しい時 新しい場所
すべてが 動き始める
土… 水… 風… 草木が 虫達が
この地球(ほし)の上で
夜明けから 日暮れ迄
生命(いのち)の中で 生命を燃やす
生命を奪い そして 生命を創造(つく)る
やってみなきゃ わからない
間違ってもいい しくじってもいい
やってみても まだ わからない
嘲笑われてもいい けなされてもいい
やれるかどうか なんかじゃなくて
やりたいから ただ やるだけ
keep on create Life together
いま 道を開拓く(ひらく)

やってみなきゃ わからない
間違ってもいい しくじってもいい
やってみても まだわからない
嘲笑われてもいい けなされてもいい
創造る為に 生きるんじゃなくて
生きる為に 創造る
keep on share Life with each other
いま 生命を創造る

永遠を 創造り続ける
永遠に………




by muto-farm | 2018-01-11 11:02