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君のいない畑

農家のせがれでなくても農業はできる! これからはやりたい人が農業をやる時代に必ずなる! いや、もう既になっている!
ある農業セミナーに参加してこの事を知った時は、本当に衝撃的でした。
これはもうやるしかない! そう思いその日から本気で就農を考えるようになるのでした。
でも、農業と一口に言っても酪農、養鶏、稲作、花卉、野菜、果樹と色々あります。何をどこの場所でやるのか。これを決めなくては先に進めません。
新規就農についての本を片っ端から読み考えましたが、何をやればいいかどうしても決まりませんでした。
ある農業改良普及員の方から「あなたが一番大切に考えているものは何か。それを突き詰めて考えて行けば自ずと答は出るはずだ」とアドバイスをいただきましたが、それでも答は出ませんでした。

要するに自分は農業の事が何もわっかっちゃいないのです。もっと農業の実際を知らなくては。そう思い、週末に水戸の農業の専門学校で開催されている講座に参加することにしました。
偶然その講座に、山で何度か会ったことのある女性Kさんが妹さんと参加していました。
彼女たちはさらに学校内に畑を借り、たくさん野菜を作ろうと意気込んでいました。
「週末しか来れないから畑がちょっと広すぎるかも。武藤さん一部分やらない?」
「うん、面白そうだね、やるやる!」
「私たちは有機栽培でやるから武藤さん間違っても化学肥料なんか入れないでね」
「う、うん、わかった」
ちょうどその講座は「有機野菜づくり」のコースでしたので、講座で習ったことを畑で実践しようということになりました。
「これからは有機農業の時代よ」
Kさんは力強く言うのでした。
「ふ~ん、そうなんだ」
ボクは本当に無農薬で野菜がちゃんとできるのか、まだ半信半疑でした。
これがボクにとって有機農業との最初の出会いでした。
そしてボクはメキャベツを、種から気合いを入れて栽培してみました。
収獲できたメキャベツは小さくてみすぼらしいものでしたが、食べてみるとおいしいのなんの。世の中にこんなにおいしいものがあったんだ、と思うほどでした。
それからスーパーでもっと立派なメキャベツを買って食べてみたのですが、こちらはあまり味がしませんでした。
こんなに違うんだ。そうか有機農業か。どうせやるならおいしくて安全で胸を張って自信を持って売ることができるものを栽培したい。そう思い、翌年から有機農業のメッカである埼玉県小川町に月2回通い始め、ますます有機農業の世界に魅せられていくことになるのでした。

水戸の学校の畑は、翌年から自分で一区画借り結局6年間やりました。将来有機農家になる事を想定し、畑でさまざまな栽培の仕方を試したり、自家製のボカシ肥料を作ってみたり、色々な実験もしてみました。
畑を始めた頃は、Kさん姉妹やその友達やとなりの畑をやっている人達も巻き込んで、みんなでわいわい楽しくやっていたのですが、年数が経つにつれだんだん畑に来る人が少なくなっていきました。
東京から車で2時間半かけてやっと畑に着いても、誰もいないなんてことも珍しくなくなりました。
昔はあんなに賑やかだったのにな…。
それでもボクは寂しくひとりで黙々と農作業を続けました。
有機農家になる事を夢見ながら…。
そしてそんな時に自然にできたのがこの曲です。

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君のいない畑

作詞 武藤俊郎  作曲 武藤俊郎

今日は朝から雨がしとしと降っている
こんな日に畑仕事をするような
物好きはきっとオレくらいなもんさ
あたりに人影はなし
君のいない畑で僕はひとり
ただ草を刈っている
いつか本当の百姓になれたらいいな
そんなことを夢見ながら

今日は太陽がカンカン照りつけている
こんな日に畑仕事をするような
物好きはきっとオレくらいなもんさ
あたりに人影はなし
君のいない畑で僕はひとり
人参の種をまいている
いつか本当の百姓になれたらいいな
そんなことを夢見ながら

時は流れ季節は変り
君は畑を去って行った
昨日畑には初霜が降りたよ
大根が収穫を待ってるよ




by muto-farm | 2017-12-11 22:42